第5話:遠吠えの理由

夜の森は、しんと静まりかえっていた。
雪の上に落ちる月の光が、まるで水面のように揺れている。

ハスキーくんは、丘の上に立っていた。
耳をすませても、風の音すら聞こえない。

「こんなに静かだと、声を出したくなるな。」

そう思った瞬間、
彼は空に向かって、アオォォーン…と声を放った。

それは、誰かを呼ぶ声だったのかもしれない。
それとも、ただそこにいることを伝えたかったのかもしれない。

遠くの山々に、声がこだまする。
そして、また静けさが戻ってくる。

でも、ハスキーくんの胸の中には、
なにかが確かに届いたような気がした。

「ぼくはここにいるよ。」

それだけで、少しだけ心があたたかくなった。

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