1話目:出会い ― ペットショップの窓辺で

ぼくは、ペットショップの小さなガラスの部屋で、
今日も外を眺めていた。

ここに来てから、
毎日いろんな人がぼくを見に来る。
子どもたちがガラスに手を当てて、
「かわいい!」って笑ってくれる。

でもね──
ぼくはいつも、ちょっとだけ不安だった。

「ぼくは、これからどうなるんだろう」
「どこへ行くんだろう」

そんな気持ちを抱えながら、
ぼくはガラスの向こうを見つめていた。

その日、
小さな足音が近づいてきた。

ふと顔を上げると、
ひとりの子どもが、
まっすぐぼくを見ていた。

ぼくは思わず、しっぽをゆっくり振った。
その子は驚いたように目を丸くして、
でもすぐに、にこっと笑った。

「あの時、君と目が合ったよね。」

ぼくはガラスに近づいて、
そっと鼻をくっつけた。

君は何を考えていたんだい。
ぼくのこと、どう見えたのかな。

君はガラス越しに手を伸ばして、
ぼくの頭のあたりを、そっとなでるように動かした。

その瞬間、
胸の奥がふわっと温かくなった。

「ああ、この子だ。」
ぼくはそう思った。

そして、
君もきっと同じ気持ちだったんだよね。

類似投稿

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です