第4話:氷の上の足あと

風が止んだ午後、森の奥にある小さな池が、
鏡のように凍っていた。
ハスキーくんは、ふと足を止める。
雪の上とは違う、つるりとした感触が足の裏に伝わってきた。
「ここ、氷だ。」
でも、怖くはなかった。
むしろ、その静けさが心地よかった。
一歩、また一歩。
足あとが、氷の上に淡く残っていく。
まるで、空に描かれた白い線のように。
氷の下には、何があるんだろう?
魚?石?それとも、ぼくの知らない世界?
ハスキーくんは、じっと足あとを見つめた。
その先に、自分の影が映っていた。
「これが、ぼくの今なんだ。」
風がまた吹いて、氷の上に雪が舞い落ちる。
足あとも、影も、少しずつ消えていく。
でも、ハスキーくんは知っていた。
消えても、歩いたことは消えない。
だからまた、前を向いて歩き出す。
氷の上に、新しい足あとを残しながら。