5話目:群れの番人 ― 一人前の証

夕焼けが、草原を金色に染めていた。
空にはオレンジ色の雲が浮かび、
風はやさしく、どこか誇らしげだった。
ぼくたち3匹は、
今日、はじめて“本物の仕事”を任された。
先頭を歩くのは、ぼく。
横には兄弟、後ろには妹。
羊たちを囲みながら、
ゆっくりと小屋へ導いていく。
娘さんは、少し離れた場所で見ているだけ。
笛も、合図もない。
でも、わかってる。
「任せたよ」って、目が言ってた。
羊たちは、ぼくらの動きに合わせて進んでいく。
草を踏む音、風の音、羊の息づかい。
そのすべてが、ぼくらのリズムになっていた。
小屋の前にたどり着いたとき、
娘さんが近づいてきて、ぼくの頭をなでた。
「立派な牧羊犬だね。」
その言葉が、
夕焼けよりもあたたかくて、
ぼくの胸の奥に、ふわっと灯った。
そして、ぼくは思った。
「……ごはん、まだかな?」