第6話:ただいま

雪を踏みしめながら、ハスキーくんは歩いていた。
遠吠えの余韻がまだ胸の奥に残っている。
空は少しずつ明るくなってきた。
夜が明ける前の、いちばん静かな時間。
遠くに、小さな灯りが見えた。
それは、あたたかい家の窓からこぼれる光だった。
玄関の前に立つと、扉の向こうから足音が聞こえた。
そして、やさしい声がした。
「おかえり。」
その言葉を聞いた瞬間、
ハスキーくんのしっぽがふわっと揺れた。
寒さも、孤独も、雪の冷たさも、
すべてがその一言で溶けていく。
「ただいま。」
そう言って、ハスキーくんは家の中へ入っていった。
あたたかい空気と、やさしい手と、
そして、自分の居場所がそこにあった。