4話目:ちょっとした冒険 ― 門の外の世界

この前、門が空いていたんだ。
ぼくは、ちょっとだけ外に出てみたくなった。
いつも庭で遊んでるけど、
その先にはどんな世界があるんだろうって。
「この前、門が空いていたから外へ遊びに行ったんだ。」
最初は楽しかった。
知らない匂いがいっぱいあって、
ぼくは鼻をくんくんさせながら歩いた。
電柱の根元におしっこをかけたり、
草むらの中に顔を突っ込んだり。
「いろんなところに匂いを嗅いで、おしっこをかけてた」
でも、
角を曲がったとき、
大きな犬が吠えたんだ。
「少し歩いていたら、大きな犬に吠えられて、ほんとにびっくりしたよ」
ぼくはびっくりして、
しっぽを下げて走った。
どこへ向かってるのか、わからなくなってた。
「気づいたら帰り道が分らなくなった」
でもね──
風に乗って、君たちの匂いがしたんだ。
君の靴の匂い。
庭の芝生の匂い。
リビングのクッションの匂い。
それを頼りに、ぼくは戻ってきた。
「でも、君たちの匂いがしたから、無事に帰ることが出来たんだ」
門の前で、君がぼくを見つけてくれたとき、
ぼくはしっぽを全力で振った。
「心配をかけてごめんね」
でも、ちょっとだけ──
ぼくは、外の世界を知れてうれしかったんだ。