凍える道を越えて、ただいまの灯りへ

夕暮れの空が、淡いオレンジと紫に染まっていく。
雪が静かに舞い落ちる中、黒い車が山道をゆっくりと進んでいく。路面は凍りつき、タイヤがキュッと音を立てるたびに、少しだけ緊張が走る。
「ここ、滑るから気をつけて」
助手席からそんな声が聞こえてきそうな、冬の帰省のひとコマ。
山の向こうには、ぽつぽつと灯りがともる街の姿。あの光の中に、懐かしい実家がある。
この道を通るたび、思い出す。
子どもの頃、後部座席から見た雪景色。
車の窓に指で絵を描いたこと。
サービスエリアで食べたあったかい肉まんの味。
今は自分が運転する側になって、家族を乗せて帰る立場になった。
変わったものもあるけれど、変わらないものもある。
それは、年の瀬に帰る場所があるという安心感。
そして、遠くに見えるあの灯りが「おかえり」と言ってくれるような、あたたかさ。
この写真には、そんな冬の旅の記憶が詰まっている。
冷たい空気の中に、心をほっとさせる何かがある。
それは、雪の白さでも、夕焼けの色でもなく、
「帰る場所がある」という、静かな喜びなのかもしれない。
