第2話:走れ、風より速く

雪がやんだ午後、空は澄みきっていた。
太陽の光が、白銀の世界をまぶしく照らしている。
ハスキーくんは、玄関の前でしっぽをふりふり。
さっきまでの静けさが嘘みたいに、体の奥からエネルギーが湧いてくる。
「行こうか。」
飼い主さんのその一言で、ハスキーくんは飛び出した。
雪を蹴って、風を切って、まるで矢のように駆けていく。
足の裏に感じるのは、キュッと締まった雪の感触。
冷たいはずなのに、心はぽかぽかしていた。
「もっと速く、もっと遠くへ。」
それは、彼の中に流れる血がささやく声。
祖先たちが果てしない雪原を駆け抜けた記憶が、
今も彼の心を熱くする。
耳に風が鳴る。
目の前の景色が、どんどん後ろに流れていく。
でも、ハスキーくんは止まらない。
走ることが、ただ楽しいから。
走ることが、自分らしいから。
そして何より、
風より速く走るとき、彼は自由になれる。