第4話「守屋の理由」

「お前がいないと、守れなかった」

陽翔の言葉に、守屋は何も答えなかった。
ただ、静かにボールを蹴り返しただけだった。

守屋大地――かつて“鉄壁の守護神”と呼ばれた男。
だが、あの試合のあと、彼は突然サッカー部を去った。

試合終了間際、1点リードの場面。
守屋は、味方のミスをカバーしようとして飛び出した。
だが、判断が遅れ、失点。

「俺のせいで、負けたんだ。」

誰も責めなかった。
それが、逆に苦しかった。

「あのとき、俺は…逃げたんだ。」

それ以来、ゴール前に立つのが怖くなった。
仲間の声が、期待が、重荷に感じた。

でも――

夕暮れのグラウンドで、1人走る陽翔の姿を見たとき。
その背中が、かつての自分たちを思い出させた。

「まだ終わってない。あいつは、まだ走ってる。」

守屋は再び、ゴール前に立つ。

「もう一度、守ってみせるよ。今度こそ。」

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