第1話 朝のしっぽは目覚まし時計

きみが眠っているあいだ、
ぼくはベッドのそばで、静かに丸くなって待ってるんだ。
ほんとはね、
すぐにでも「おはよう」って言いたいけれど、
きみの寝息が気持ちよさそうだから、
がまんしてる。
でもね――
きみが布団の中で、
ほんの少しだけ肩を動かしたり、
寝返りをうったりすると…
ぼくのしっぽが、
勝手に、ふるふるって動いちゃうんだ。
「起きた? 起きたよね?」
「今日もいっしょに歩けるよね?」
胸の奥があったかくなって、
しっぽが止まらなくなる。
きみがゆっくり目を開けて、
ぼくの名前を呼んでくれた瞬間、
世界がぱっと明るくなるんだ。
ぼくにとっての朝は、
太陽よりも、
きみの「おはよう」から始まるんだよ。